またまた素晴らしい本に巡り合いました!
表紙の帯に惹かれてなんとなく手に取ったんですが、
これが大当たり!(^^)!
文章の書き方から、ストーリーのテンポ、そして物語の結末まで
すごく好みのタイプで、ぜひこの作家さんの他の物語も読んでみたい✨
あらすじ
一枚の絵画「エスキース(下絵)」をめぐる、5つの「愛」の物語——
メルボルンの若手画家の「エスキース」というタイトルの絵画の前で繰り広げられる、さまざまな「ふたり」の奇跡
第一章 金魚とカワセミ
メルボルンに留学中の大学生レイと、現地に住む日系人のブー。
二人は、レイの留学期間中だけという「期間限定の恋人」として付き合い始めるが、レイの帰国の日が近づくにつれて…
第二章 東京タワーとアーツ・センター
額職人として働く空知は、淡々と仕事をこなす毎日に迷いを感じていた。
そんなとき、「エスキース」というタイトルの絵画に出合い…
第三章 トマトジュースとバタフライピー
漫画家タカシマの元でかつてアシスタントとして働いていた砂川。彼が描いたマンガが大きな章を受章した。
雑誌の対談企画に指名されたタカシマが、久しぶりに砂川と顔を合わせたところ…
第四章 赤鬼と青鬼
ようやくこれだ、と思える仕事に巡り合い、充実した生活を送っていた 51歳の茜 。
海外での買い付けを初めて任された矢先、突然パニック障害を発症し、長期休暇を取ることになった。
そんな時に、元恋人の蒼から連絡がきて…
心に刺さった文章
「まあでも、誰でも玉手箱を持ってるものなんじゃない?ただ、玉手箱を開けたらあっというまに老人になるっていうのは違うと思うの。そうじゃなくて、箱を開いて過去をしみじみ懐かしんでいるときに、自分が年を取ったことを知るのよ、きっと」
(P39 「金魚とカワセミ」より)
「よく、人生は一度しかないから思いっきり生きよう、って言うじゃない。私はあれ、なかなか怖いことだと思うのよね。一度しかないって考えたら、思いっきりなんてやれないわよ」
「もちろん思いっきり生きてるわよ。でも私はね、人生は何度でもあるって、そう思うの。どこからでも、どんなふうにでも、新しく始めることができるって。そっちの考え方の方が好き」
「ただ、人生は何度でもあるけど、それを経験できるこの体はひとつしかないのよね。だから、なるべく長持ちさせなきゃ」
(P197 「赤鬼と青鬼」より)
読後の感想
この映画の結末は、決して他の人に話さないでください!
って、映画シックスセンスの注意書きだったかな。
この物語も同様で、表紙の帯にも「二度読み必至」と書かれているだけあって、
本当に最後の仕掛けに驚かされました。
点と点がつながった時の快感がすごかったです!
天空の城ラピュタで、ムスカがラピュタの石碑を読めて驚喜してた、あんな感じになりました(笑)
読み終わったら、と言わず、読んでる最中から、心が穏やかになり、優しい気持ちになる物語でした。
個人的には、突飛な展開だったり派手な演出のあるものより、普段の日常を切り取ったような物語が好みなので、そのあたりもグッときました。
2021年の本屋大賞2位「お探し物は図書室まで」の著者 青山美智子が紡ぐ傑作連作短編
ぜひ一度、読んでみてください
著者 青山美智子の他の作品
気になる他の作品は…
「お探し物は図書室まで」 (2020年) 2021年の本屋大賞2位
「木曜日にはココアを」 (2017年) 第1回宮崎本大賞受賞
「月曜日の抹茶カフェ」 (2021年) 「木曜日にはココアを」の続編
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