「高校に行けなくなった。このままだと卒業できないのかな……」
最初は1日休むだけのつもりだった。
でも、翌日も学校へ行けない。気づけば1週間、1か月と欠席が増えている。
授業にもついていけなくなるし、友達や先生と顔を合わせるのも気まずい。
そんな状況で気になるのが、これからの進路だと思う。
高校で不登校になると、もう卒業できないのだろうか。
先に結論を伝えると、不登校になっただけで高校卒業が不可能になるわけではない。
ただし、欠席や欠課によって履修・単位修得の条件を満たせなくなると、進級や卒業に影響することがある。
一方、現在の高校で学習を続ける方法や、通信制高校などへ転入して卒業を目指す方法もある。
この記事では、高校で不登校になった場合の単位・卒業条件、今の学校で受けられる支援、今後考えられる5つの進路について解説する。
高校で不登校になったら卒業できない?

高校で不登校になっても、それだけで卒業資格を失うことはない。
高校卒業に必要なのは、原則として3年以上の在学、74単位以上の修得、各学校の教育課程で定められた条件などを満たすこと。
全日制高校では授業への出席が履修認定に関係するため、欠席が長期間続くと必要な単位を修得できなくなる可能性がある。
ただし、欠席が増えた時点で自動的に留年や退学が決まるわけではない。
学校によっては、補充指導や追試験、不登校生徒向けの遠隔授業・通信教育などを活用できる場合もある。
まず確認したいのは、現在の学校で卒業を目指せる可能性がどの程度残っているのか、という点だ。
高校の不登校は何日休んだら留年になる?
「高校は何日休んだら留年するの?」
不登校になった高校生や保護者が、最初に心配しやすい問題だと思う。
ただし、全国の高校に共通する「年間○日休んだら留年」という一律の基準はない。
進級や卒業への影響は、学校の履修規定や科目ごとの欠課時数、単位修得の状況などによって変わる。
欠席日数と欠課時数は同じではない
ここは混同しやすいので注意したい。
- 欠席日数:学校を休んだ日数
- 欠課時数:各科目の授業を欠席した時数
例えば、同じ10日の欠席でも、休んだ日の時間割によって数学や英語などの欠課時数は変わる。
学校によっては科目ごとの欠課時数をもとに履修を判定するため、年間の欠席日数だけでは判断できない。
また、授業に出席していても、学習成果が十分でなければ単位を修得できない場合がある。
逆に、通常の授業への出席が難しい場合でも、学校が認める特別な学習方法によって単位修得を目指せることがある。
まずは担任に3つのことを確認しよう
- 現在、履修が難しくなっている科目はあるか
- 進級や卒業の判定までに何が必要か
- 自宅学習や補充指導などの制度を利用できるか
先生に直接聞くのが難しければ、保護者から学校へ問い合わせても構わない。
留年の条件については、こちらの記事でも詳しく整理している。
不登校でも今の高校に在籍したまま単位を取れる?

不登校になったとき、必ずしも転校だけが解決策になるわけではない。
実は、全日制・定時制高校でも、不登校生徒に対して自宅等での学習機会を確保する制度が整備されている。
2024年4月から不登校生徒向けの通信教育が可能に
2024年4月1日施行の制度改正により、全日制・定時制高校でも、一定の要件を満たす不登校生徒等に対して、授業に代わる通信教育を実施できるようになった。
また、不登校生徒が自宅などで遠隔授業を受け、単位を修得する仕組みも整備されている。
制度上、不登校生徒向けの遠隔授業や通信教育などによって修得できる単位数には、原則として合計36単位までという制限がある。
なお、病気療養中等の生徒に対しては、異なる取扱いが定められている場合がある。
重要なのは、今の高校に通えなくなっても、必ずしも学習を中断する必要はないということ。
ただし、制度があるからといって、すべての高校で利用できるわけではない。
学校が実施しているか、本人が対象になるか、どの科目を履修できるかなどの確認が必要だ。
自宅で動画を見るだけで単位がもらえるわけではない
ここは誤解しないようにしたい。
自宅で好きな動画教材を見るだけで、通常の高校の単位に自動的に換算されるわけではない。
学校が認めた教育方法に基づいて学習し、必要な指導や評価を受けることになる。
学校へ相談するときは、次のように聞いてみよう。
現在、不登校の状態が続いています。自宅での遠隔授業や通信教育を利用して、在籍したまま単位を修得できる制度はありますか?
利用できる制度がない場合もあるが、確認せずに転校しかないと判断する必要はない。
参考:文部科学省「高等学校等における多様な学習ニーズに対応した柔軟で質の高い学びの実現について」(2024年2月13日通知)
高校生が不登校になったとき、まず何をすればいい?
不登校になった直後から、進路を決めようとしなくてもいい。
特に心身の負担が大きい場合は、状態に応じて休養や専門家への相談を優先することも必要になる。
そのうえで、進級や卒業への影響が気になる場合は、情報を整理しておこう。
① 現在の欠席・単位の状況を確認する
今の高校で進級できる可能性がどの程度あるのか、学校に確認しよう。
確認するのは欠席日数だけではない。
- 科目別の欠課時数
- 現在修得している単位
- 履修が認められない可能性のある科目
- 補充指導や自宅学習の利用条件
- 進級・卒業判定の時期
これらを把握すると、今の学校で学び続ける場合と転校する場合を比較しやすくなる。
② 学校に行けない理由を無理に一つに決めない
不登校の理由は、人間関係、学習面、心身の不調、学校環境など、さまざまな事情が重なっている場合がある。
「友達がいないから」「勉強が嫌だから」と簡単に説明できないこともある。
本人が理由をうまく説明できなくても、原因がないという意味ではない。
何に負担を感じているのかを少しずつ整理し、必要に応じてスクールカウンセラーなどに相談することも選択肢になる。
③ 今の学校で使える支援を確認する
担任に相談しにくい場合でも、学年主任、教務担当、スクールカウンセラーなどに相談できる場合がある。
また、学校によっては別室での対応や学習支援などが用意されていることもある。
利用できる制度と、出席・単位への扱いは分けて確認しよう。
高校で不登校になった場合の5つの進路

学校へ行けない状態が続いたとしても、その後の進路は一つではない。
現在の高校に残る方法もあれば、別の環境で卒業を目指す方法もある。
① 今の高校に在籍しながら卒業を目指す
今の学校に戻りたい気持ちがある場合や、学校側が必要な学習支援を提供できる場合は、在籍したまま卒業を目指す方法がある。
別室での学習、補充指導、遠隔授業など、利用できる制度は学校によって異なる。
ただし、支援制度が利用できても、必要な単位をすべて修得できるとは限らない。
② 別の全日制高校へ転校する
学校の人間関係や環境が合わない一方で、毎日の通学自体はできそうなら、別の全日制高校への転校も候補になる。
ただし、全日制高校への転入には受け入れ枠、転入学試験、教育課程の条件などが関係することがある。
希望する学校に必ず転校できるわけではない。
③ 通信制高校へ転入する
毎日決まった時間に登校することが難しい場合には、通信制高校も選択肢になる。
通信制高校は、レポート、スクーリング、試験などを通じて単位修得を目指す高校だ。
学校やコースによって、自宅中心の学習や通学を組み合わせた学び方がある。
ただし、通信制高校は登校が一切不要という意味ではない。
スクーリングや試験などへの参加が必要で、学習を計画的に進めることも求められる。
現在の高校で修得した単位や在籍期間が認められる場合もあるため、転入したからといって必ず1年生からやり直すわけではない。
ただし、転入すれば必ず予定どおり卒業できるという保証もない。
まずは、現在の単位数と卒業予定時期を確認しておこう。
通信制高校へ転入すると単位は引き継げる?卒業時期への影響も解説
④ 定時制高校へ転校する
定時制高校にも、学校によって昼間や夜間などの時間帯に学べる課程がある。
自分の生活リズムに合わせながら、対面での授業を受けたい場合に候補になることがある。
ただし、通学頻度、教育課程、卒業までの期間は学校によって異なる。
⑤ 休学してから進路を考える
心身の負担が大きいときは、すぐに転校や退学を決めるのではなく、在籍校の休学制度を確認する方法もある。
ただし、休学期間の扱いや復学条件、卒業時期への影響は学校ごとに確認する必要がある。
休学をすれば必ず同級生と同じ時期に卒業できるわけではない。
不登校から通信制高校へ転入すれば卒業できる?
通信制高校へ転入すれば、今の高校に通えない問題を解決できるのでは、と考える人もいると思う。
実際、毎日の通学が難しい人にとって、学習スタイルを変更できることは大きなメリットになる。
ただし、不登校になった理由によっては、通信制高校でも負担が残る可能性がある。
例えば、学校の人間関係が負担だった人には、自宅中心の学習が合う場合がある。
一方、学習を一人で進めるのが難しい人にとっては、レポートの提出や予定管理が負担になるかもしれない。
通信制高校を選ぶときは、次の項目を確認したい。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| スクーリング | 登校日数・場所・宿泊の有無 |
| 学習支援 | 質問対応・個別指導の有無 |
| 単位 | 前の高校の単位がどう認定されるか |
| 卒業時期 | いつ卒業できる見込みか |
| 学費 | 授業料・追加コース費等の総額 |
| 進路支援 | 大学進学・就職への支援内容 |
特に「学校へ行けないから通信制高校なら大丈夫」と決めつけないことが大切だ。
通信制高校への転入で後悔するのはどんな人?転校前に確認したい5つのこと
不登校の高校2年生・3年生でも通信制高校へ転入できる?

高校2年生や3年生で不登校になると、「今から転校しても間に合わないのでは」と不安になるかもしれない。
でも、学年だけで転入できないと決まるわけではない。
転入を受け付けている通信制高校なら、高2・高3からでも検討できる場合がある。
ただし、転入できることと、希望する時期に卒業できることは別だ。
確認したいのは次の3点。
- 今の学年・時期から転入できるか
- 修得済み単位と在籍期間をどう引き継げるか
- 転入後の卒業予定年月はいつか
高校3年生の場合は、特に卒業予定時期を具体的に確認しておきたい。
通信制高校への転入は高1・高2・高3いつまで?学年別に確認したいポイント
子供が高校で不登校になったとき、親はどうすればいい?
子供が高校に行けなくなると、保護者も不安になると思う。
「このまま高校を卒業できなかったらどうしよう」
「将来の進学や就職に影響しないだろうか」
そんな心配から、早く学校へ戻ってほしいと感じることもある。
ただし、本人の状態を確認せず、登校だけを目標にすると、かえって負担を増やしてしまう場合もある。
まずは、なぜ学校へ行けないのか、本人がどんなことに困っているのかを聞いてみたい。
理由を話せない場合は、無理に答えを求める必要もない。
その一方で、学校の履修や進級に関する情報は保護者が代わりに確認できることもある。
例えば、学校には次のことを相談してみよう。
- 現在の出席・単位の状況
- 在籍校で利用できる学習支援
- 進級・卒業の見通し
- 休学制度や復学の条件
- 転校を検討する場合の必要書類
本人の負担を減らしながら、進路の選択肢を残すことが重要だ。
N高・S高・R高も転入先の候補になる

不登校から通信制高校への転入を考えているなら、N高・S高・R高も候補の一つになる。
ネットを活用した学習を中心に、コースによって通学を組み合わせる学び方もある。
ただし、通信制高校だからといって、不登校の状態が自動的に解消するわけではない。
学校ごとの学習支援、スクーリング、単位認定、卒業時期を確認する必要がある。
また、今の高校に在籍している場合は、先に退学せず、転入先の受け入れ条件を確認しておきたい。
N高・S高・R高へ転入・編入できる?単位・卒業時期・通い方を解説
候補校を比較するときは、最新の公式資料や募集要項を確認しよう。
高校の不登校についてよくある質問
高校を1か月休んだら留年する?
1か月休んだだけで全国一律に留年が確定するわけではない。
ただし、学校の履修規定や科目ごとの欠課時数によっては進級に影響する可能性があるため、早めに確認しよう。
高校で不登校になったら自動的に退学になる?
不登校になったという事実だけで、直ちに自動退学となるわけではない。
ただし、長期間の欠席や進級できない状況については、学校の規定に基づく対応が必要になる場合がある。
在籍継続や休学の扱いについて、学校へ確認しよう。
不登校でも大学進学できる?
高校を卒業すれば、原則として大学入学資格を得られる。
通信制高校を卒業した場合も、高校卒業資格であることに違いはない。
ただし、希望する大学や選抜方式によって必要な学力、科目、出願条件などが異なるため、進学準備は別途必要になる。
通信制高校に転入したら毎日学校へ行かなくていい?
学校やコースによって登校頻度は異なる。
自宅学習を中心にできる場合もあるが、スクーリングや試験などへの参加が必要になる。
高校を辞めてから通信制高校に入った方がいい?
すでに高校を退学している場合は編入学を検討することになる。
現在高校に在籍しているなら、先に転入の条件を調べた方が、在籍期間や単位の引き継ぎを含めて比較しやすい。
まとめ|高校で不登校になっても卒業への道は残っている

高校で不登校になると、欠席や単位の問題が心配になると思う。
ただし、不登校になっただけで高校卒業が不可能になるわけではない。
- 留年の基準は学校によって異なる
- 自宅での遠隔授業や通信教育を利用できる高校もある
- 今の高校に在籍したまま卒業を目指す方法がある
- 全日制・定時制・通信制高校への転入も検討できる
- 転入を考える場合は単位と卒業予定時期を確認する
今の学校に戻ることだけを目標にする必要はない。
一方で、通信制高校への転入だけが正解とも限らない。
まずは本人の状態と在籍校で利用できる制度を確認し、そのうえで今の学校を続けるか、環境を変えるかを考えよう。
今の高校に通えなくなったことと、高校卒業を諦めることは別の話だ。




コメント