「このままだと留年するかもしれない」
先生からそう言われたら、かなり焦ると思う。
欠席が増えている。赤点を取ってしまった。授業についていけない。気づけば、進級できるかどうかが心配になっている。
留年したら同級生と学年がずれる。もう一度同じ学年をやり直すのか。高校を辞めなければいけないのか。
先に結論を言うと、高校で留年しそうになっても、必ず留年が決まるわけではない。
追試験や補充指導などによって進級が認められる場合もあるし、別の高校へ転入して卒業を目指す方法もある。
ただし、どんな場合でも回避できるわけではない。
この記事では、高校で留年になる条件、進級できないと分かったときの対処法、留年が決まった場合の5つの選択肢を順番に解説する。
高校の留年とは?進級できないとどうなる?

高校の留年とは、一般に、現在の学年の課程を修了したと認められず、同じ学年にとどまることをいう。
学校の正式な説明では「原級留置」という言葉が使われることもある。
例えば、高校1年生の終わりに進級が認められなければ、翌年度も高校1年生として学ぶことになる。
ただし、これは主に学年制の高校での話だ。
高校には学年ごとに進級を認定する仕組みの学校だけでなく、学年による教育課程の区分を設けない単位制高校もある。
単位制高校では、必要な単位を積み重ねて卒業を目指すため、一般的な学年制とは進級の考え方が異なる。
「高校で留年する」といっても、どの学校でも同じ扱いになるわけではない。
高校で留年になる条件は?

高校で留年する主な原因として、欠席や授業への出席不足、未修得単位、成績不振などがある。
ただし、全国すべての高校に共通する「何日休んだら留年」「赤点何個で留年」という一律の数字はない。
具体的な判定は、在籍する学校の教育課程や進級規定などに基づいて行われる。
① 欠席・欠課が多く、授業の履修が認められない
欠席が多いと、科目の履修が認められなくなることがある。
ただし、学校を何日休んだかという年間の欠席日数だけでなく、各科目の授業をどのくらい欠課したかも重要になる。
例えば、同じ10日の欠席でも、時間割や欠席した日により、科目ごとの欠課時数は変わる。
また、学校によって履修認定の基準も違う。
「欠席が30日になったら全国どこでも留年」という決まりがあるわけではないので、ネット上の数字だけで判断しないようにしたい。
② 赤点や成績不振で単位を修得できない
定期試験で赤点を取ると、「留年するのでは」と不安になる人もいると思う。
でも、赤点を一度取っただけで必ず留年するわけではない。
学校によっては、定期試験だけでなく、提出物、授業への取り組み、補充指導、追試験なども含めて評価される。
一方、最終的に必要な単位を修得できなかった場合は、進級に影響する可能性がある。
確認すべきなのは「赤点を何個取ったか」だけではなく、どの科目の単位が修得できない見込みなのかという点だ。
③ 提出物や履修条件を満たしていない
試験の点数だけでなく、必要な提出物や授業への参加状況などが成績・履修認定に影響する場合もある。
特に、未提出の課題が多く残っているなら、今から提出できるものがないか確認したい。
期限を過ぎた課題でも、学校側が提出や補充指導を認める場合がある。
ただし、必ず受け付けてもらえるわけではない。
何をすれば履修や単位の認定につながるのか、担当の先生に具体的に確認することが必要だ。
高校で赤点を取ったら留年する?

赤点と留年は同じ意味ではない。
例えば、次のような段階が考えられる。
| 状況 | 留年との関係 |
|---|---|
| 定期試験で赤点を取った | それだけで留年確定とは限らない |
| 追試験や補充指導の対象になった | 学校の条件を満たせば単位修得につながる場合がある |
| 学年末に単位を修得できなかった | 学校の進級規定によっては留年の可能性がある |
| 進級が正式に認められなかった | 学年制では原級留置となる場合がある |
文部科学省の高等学校学習指導要領解説でも、一部の科目の単位が修得できなかった生徒について、一律に原級留置とするのではなく、弾力的な運用を求めている。
例えば、補充指導や追試験による単位修得を条件に、次の学年への進級を認める方法などが示されている。
ただし、すべての高校で同じ制度が使えるわけではない。
自分の学校でどのような対応があるかを確認する必要がある。
高校で留年しそうになったら、まず何をすればいい?

留年が心配になったときに、最初から転校や退学を決める必要はない。
まずは、現在の学校で進級できる可能性が残っているか確認しよう。
① 担任に進級できない原因を確認する
「このままだと危ない」と言われただけでは、何が不足しているのか分からない。
先生には、次の4点を聞いてみよう。
- どの科目が進級に影響しているのか
- 欠課時数や未修得単位はどのくらいあるのか
- 追試験や補充指導を受けられるか
- いつ進級の判定が行われるのか
数字と期限を確認しておくことが大切だ。
② 追試験・補充指導の対象になるか確認する
成績や履修状況に問題があっても、追試験、追加課題、補充指導などで対応できる場合がある。
ただし、対象者や実施時期は学校によって違う。
「たぶん追試があるだろう」と考えて、確認せずに放置するのは避けたい。
③ 不登校や体調不良が原因なら支援制度も確認する
学校に通えない事情がある場合は、欠席を減らすことだけが解決策ではない。
文部科学省は、一定の要件のもとで、不登校の高校生に対する遠隔授業や通信教育による単位認定を可能にする制度整備を行っている。
ただし、これらの制度はすべての高校に実施が義務付けられているわけではない。
在籍校で利用できるか、担任や教務担当者に確認しよう。
④ 保護者と進路について相談する
留年の可能性を親に伝えるのは、気が重いかもしれない。
でも、留年が正式に決まってから話すより、今の段階で一緒に対応を考えた方が選択肢が増える場合もある。
例えば、こんな伝え方ができる。
今のままだと進級できないかもしれないと言われた。先生に確認したいことがあるから、一緒に今後の進路を考えてほしい。
すぐに結論を出すためではなく、状況を整理するための相談で構わない。
家庭で相談しにくい事情がある場合は、先生やスクールカウンセラーなど、信頼できる大人に先に相談してもいい。
高校で留年が決まったら?考えられる5つの選択肢

進級が認められなかったとしても、その後の進路が一つに決まるわけではない。
今の学校を続ける方法もあれば、別の学校で卒業を目指す方法もある。
① 今の高校で同じ学年をやり直す
一つ目は、今の高校に残って同じ学年をやり直す方法。
学校の雰囲気や通学自体に大きな問題がないなら、同じ学校で学び直すことが合っている人もいる。
ただし、同級生と学年がずれることや、再び同じ授業を受けることへの負担は考えておきたい。
また、学費などの負担も増える可能性がある。
② 別の全日制高校への転校を検討する
今の学校が自分に合っていない場合は、別の全日制高校への転校も候補になる。
ただし、全日制高校への転入には、転入学試験や受け入れ枠、教育課程の違いなどの条件がある。
留年したからといって、別の全日制高校で必ず上の学年に進めるわけではない。
転入先でどの学年に相当するのか、修得済みの単位をどう扱うのか、事前の確認が必要だ。
③ 通信制高校へ転入する
毎日の登校が難しい、今の学校の学習スタイルが合っていない、という場合には通信制高校への転入も考えられる。
通信制高校では、レポート、スクーリング、試験などを通じて単位を修得し、高校卒業を目指す。
学年による区分を設けない単位制の学校もあり、これまでの在学期間や修得単位が認められる場合がある。
ただし、通信制高校に転入すれば留年が必ず帳消しになるわけではない。
今までの修得単位、転入先の教育課程、必要な履修科目によって卒業時期は変わる。
また、転入を受け付けている時期や必要な書類も学校によって違う。
特に、年度末が近い場合は早めに確認したい。
高1・高2・高3それぞれの転入時期については、こちらの記事で解説している。
通信制高校への転入は高1・高2・高3いつまで?学年別に確認したいポイント
④ 定時制高校への転校を検討する
通信制高校だけでなく、定時制高校も選択肢になる。
定時制高校には、昼間や夜間などの時間帯に授業を行う学校がある。
通学しながら対面授業を受けたい人や、今の高校とは違う生活リズムで学びたい人に合う場合がある。
ただし、卒業までの期間、転入条件、単位認定などは学校ごとに確認する必要がある。
⑤ 休学・進路の再検討をする
心身の状態によっては、無理に次の学校を決めることが負担になることもある。
その場合は、在籍校の休学制度や学習支援について相談しながら、進路を考える方法もある。
休学した期間が卒業に必要な在学期間にどう影響するかは、学校や制度上の条件によって異なる。
進路を決める前に、休学中の扱いや復学条件を確認しておこう。
高校で留年したら、通信制高校で同級生と同じ時期に卒業できる?

これは、留年が心配な高校生や保護者にとって特に気になることだと思う。
結論から言うと、同級生と同じ時期に卒業できる可能性はあるが、必ずできるとは限らない。
高校卒業には原則として、3年以上の在学、74単位以上の修得、必要な教育課程の履修などが求められる。
転入した場合、前の高校での在学期間や修得済み単位が考慮されることがある。
例えば、高校2年生の途中で進級が難しくなった場合でも、高校1年生で修得した単位が転入先で認定されれば、すべてを最初から学び直すとは限らない。
ただし、今の高校で履修中の科目がすべて修得済み単位として認定されるわけではない。
転入後に残る科目やスクーリング、試験の実施時期によっても卒業予定は変わる。
確認したいのは次の4点だ。
- 現在の高校で修得が確定している単位数
- 転入先で認定される単位数
- 卒業までに必要な残りの履修科目
- 転入後の卒業予定年月
単位の引き継ぎと卒業時期の関係は、別の記事で詳しく説明している。
通信制高校へ転入すると単位は引き継げる?卒業時期への影響も解説
高校を留年するくらいなら辞めた方がいい?

留年すると聞くと、「もう高校を辞めた方がいいのでは」と考えることもあると思う。
ただし、留年と中退のどちらがよいかは、留年することになった原因と、これから何を目指すかによって変わる。
今の学校で学び続けたい気持ちがあり、進級できなかった原因を解消できる見込みがあるなら、同じ高校で学び直す方法もある。
一方、いじめや人間関係、体調不良、通学への強い負担などが続いているなら、同じ環境でやり直すことが適切とは限らない。
重要なのは、「留年するのが恥ずかしいから辞める」といった理由だけで急いで退学を決めないこと。
今の高校に在籍しているうちに、転入先の受け入れ条件を確認しておく方が選択肢を残しやすい。
高校を辞める場合の進路については、次の記事でも整理している。
高校を辞めたいと思ったら?中退する前に知っておきたい5つの選択肢
通信制高校へ転入する前に注意したいこと

通信制高校への転入は、進級や通学に悩んでいる人にとって有力な選択肢になることがある。
ただし、転入した後に後悔しないためには、卒業予定時期以外の条件も確認しておきたい。
| 確認項目 | チェックすること |
|---|---|
| 登校頻度 | スクーリングの回数・場所 |
| 学習方法 | レポート、試験、オンライン学習の内容 |
| 学習支援 | 質問や補習を受けられるか |
| 学費 | 授業料、施設費、追加コース費など |
| 卒業時期 | 単位認定後にいつ卒業できる見込みか |
| 進路支援 | 大学進学や就職へのサポート内容 |
「留年を避けられるなら、どこでもいい」と考えて選んでしまうと、転入後の学習や生活が合わない可能性もある。
入学前には複数の学校を比べ、自分に必要な支援があるか確認しよう。
通信制高校への転入で後悔するのはどんな人?転校前に確認したい5つのこと
N高・S高・R高への転入も選択肢になる

通信制高校を検討するなら、N高・S高・R高も候補の一つだ。
ネットを活用した学習を中心に、コースに応じて通学を組み合わせる学び方もある。
ただし、現在の高校で進級できない場合に、必ず同級生と同じ時期に卒業できるという意味ではない。
転入時期、単位の認定状況、残りの履修内容について、学校側に個別の確認が必要だ。
転入・編入の条件や学び方を知りたい人は、こちらの記事も参考にしてほしい。
N高・S高・R高へ転入・編入できる?単位・卒業時期・通い方を解説
学校によって募集状況や費用は変わるため、最終的には最新の公式資料や募集要項で確認しよう。
高校の留年についてよくある質問

高校は何日休んだら留年になる?
全国一律の欠席日数は定められていない。
学校ごとの履修規定や科目別の欠課時数などによって判断されるため、在籍校への確認が必要だ。
赤点を1つ取ったら留年確定?
赤点が1つあるだけで必ず留年が決まるわけではない。
追試験や補充指導などの制度がある場合もあるので、学校の進級規定を確認しよう。
高校1年生で留年したら、もう一度1年生?
学年制の高校で原級留置になれば、一般的には同じ学年をやり直すことになる。
ただし、単位制高校では学年制と仕組みが異なる場合がある。
高校2年生・3年生で留年が決まっても転校できる?
転入を受け付けている高校があれば、検討できる。
ただし、受け入れ条件や転入時期、修得単位などによって卒業予定が変わる。
留年が決まる前に通信制高校へ転入した方がいい?
一概には言えない。
在籍校で進級できる可能性があるなら、その条件を確認することが先になる。
転入を考える場合も、転入先で認められる単位や卒業時期を確認してから判断したい。
まとめ|高校で留年しそうでも、進路は一つではない

高校で留年しそうになったとき、最初にすべきことは進級できない原因と、まだ取れる対応を確認することだ。
- 赤点だけで留年が決まるとは限らない
- 欠席・欠課や単位認定の基準は学校によって異なる
- 追試験や補充指導で進級できる場合もある
- 留年が決まっても今の学校で学び直す方法がある
- 全日制・定時制・通信制高校への転入も検討できる
進級できないことと、高校卒業を諦めなければいけないことは別だ。
今の学校でできることを確認して、それでも環境を変える必要があるなら、別の学校で卒業を目指す方法を調べればいい。
留年という言葉だけで、これからの進路を決める必要はない。
参考・根拠
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」:進級認定の弾力的運用に関する説明
- 文部科学省「高等学校教育に関する制度改正通知」:不登校生徒に対する遠隔授業・通信教育の制度
- e-Gov法令検索「単位制高等学校教育規程」:転入学、単位認定等の規定
- 文部科学省「高等学校入学資格 Q&A」:転学と単位認定の説明
- NHK学園高等学校「転入・編入学をお考えの方」:転入・編入と卒業要件の学校事例



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