
2025年本屋大賞ノミネートという情報をきっかけに手に取りました。 バレエ小説だと知り、専門的すぎないか少し身構えましたが、読み進めるうちに「これは芸術そのものを描いた物語なのだ」と感じるようになりました。 ページをめくるごとに、現実から遠ざかるような、しかし確かに人間の物語でもある不思議な感覚に包まれていきました。
【書誌情報】
| タイトル | spring |
|---|---|
| 著者 | 恩田陸【著者】 |
| 出版社 | 筑摩書房 |
| 発売日 | 2024/05 |
| ジャンル | 文芸(一般文芸) |
| ISBN | 9784480805164 |
| 価格 | ¥1,870 |
自らの名に無数の季節を抱く無二の舞踊家にして振付家・萬(よろず)春(はる)。少年は八歳でバレエに出会い、十五歳で海を渡った。同時代に巡り合う、踊る者 作る者 見る者 奏でる者――それぞれの情熱がぶつかりあい、交錯する中で彼の肖像が浮かび上がっていく。彼は求める。舞台の神を。憎しみと錯覚するほどに。一人の天才をめぐる傑作長編小説。 【電子書籍版には紙書籍版に収録されている「パラパラ漫画」と書き下ろし番外編二次元コードは付きません】
本の概要(事実の説明)
本作は、一人の天才舞踊家・振付家である萬春(よろず・はる)の生涯と、その周囲に集う人々を描いた長編小説です。 少年時代にバレエと出会い、十五歳で海外へ渡った春は、やがて唯一無二の存在として舞台の中心に立つようになります。 物語は、彼と出会ったダンサー、作曲家、指導者といった複数の視点から語られ、最後に春自身の内面が明かされます。 天才とは何か、芸術に人生を捧げるとはどういうことかを、多角的に浮かび上がらせていく構成でした。 芸術の世界に興味がある人、才能というものの正体を考えたい人に向いている作品だと思いました。
印象に残った部分・面白かった点
印象的だったのは、萬春が「巨大な光源であり、同時に鏡である存在」として描かれている点です。 彼に関わった人々は、彼の才能に引き寄せられ、自分自身の可能性や本質を突きつけられていきます。 その過程は称賛だけでなく、畏怖や戦慄を伴っており、天才と共にいることの残酷さも感じました。
本をどう解釈したか
この作品が投げかける問いは、「才能とは祝福なのか、それとも贄なのか」というものだと感じました。 春は舞台の神を求め、踊ることを祈りに近い行為として捧げ続けます。 作者は、芸術家を孤独な存在として描くのではなく、集団の中で相互に高め合い、消耗し合う存在として描いているように思えました。
読後に考えたこと・自分への影響
読み終えて残ったのは、圧倒されるような静かな余韻でした。 天才であっても悩み、恐れ、迷いながら前に進んでいることが、最終章で明らかになります。 才能の有無に関わらず、人はそれぞれの場所で「自分にしかできない形」を探し続けているのだと感じました。
この本が合う人・おすすめの読書シーン
集中できる夜の時間、物語の世界に深く没入できる環境で読むのがおすすめです。 途中で調べ物をせず、頭の中に立ち上がる舞台や音楽を、そのまま受け取る読み方が合うと感じました。
『spring』(恩田陸・著)レビューまとめ
これはバレエ小説であり、同時に「才能に人生を捧げること」の物語でした。
遠い世界の話のようでいて、表現することに惹かれるすべての人に通じる一冊だと思います。
読後の余韻を深めるための読書サービス
この本は、読み終えた瞬間に何かが完結するというより、あとから静かに効いてくるタイプの一冊だったように感じました。
ページを閉じたあとも、ふとした瞬間に言葉や場面を思い出して、「もう一度考えてみたい」と思わせる余韻が残ります。
もし、そうした感覚をもう少し大切にしたいなら、文字とは違うかたちで触れ直すのも一つの方法です。
Audibleは、オーディオブックやポッドキャストを含む数十万作品が聴き放題で、30日間の無料体験があり、月額1,500円でいつでも退会できます。
移動中や家事の合間など、日常の中で考え続ける時間をつくりたい人には、無理のない選択肢だと思いました。
一方で、「まず全体像を整理してから向き合いたい」「もう少し軽い入口がほしい」と感じることもあります。
flierは、1冊約10分で読める要約が用意されていて、毎日1冊ずつ追加されます。
ビジネスや教養を中心に4,200冊以上(ゴールドプラン)が揃っており、音声要約にも対応しているので、通勤中や眠る前の時間にも取り入れやすいです。
全体像をつかむための入口としては flier。
一冊の内容を、時間をかけて味わい直すなら Audible。
その時の気分や読み方に合わせて選ぶのが、いちばん自然だと感じました。


コメント